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コラム
2020/08/07
<リバースオークション戦略> 暗黙知を形式知に
必要十分な仕様書になっていますか?
サービスレベルも仕様書に
担当者の頭の中にある情報を新しい業者さんに伝えるためには、その内容を明文化して「仕様書」という文書にすることが必要です。これまでの担当者の頭の中に「暗黙知」としてあった仕様の中身を「形式知」の領域まで持ってきて、それを「見える化」する作業をしなければならないのです。
実は、前述したサービスで「ただ」でやってもらっている範囲も、本当は「ただ」ではないのです。どんなものにも原価があり、無償というものはありません。
既存の業者さんにしても、その部分はコストに算入していて、どのくらいまでならば利益が確保できるかを計算し、その範囲内で「サービスです」「ここはただでやります」と言っているわけです。
ですから、そのような見かけ上無償であっても、サービスレベルについてもしっかり明記して「形式知」にし、共通の仕様として理解してもらわなければなりません。
サプライヤの営業マンから学ぶ
この「暗黙知」を「形式知」にする工数を間接材・非戦略購買ではなかなかかけられないので、比較購買をするための仕様づくりを業者さんに頼むこともよく起こります。このとき、購買者が本当に欲しい本当に必要としているもので収まらず、業者さんが売りたいと思うものになったり、必要以上の仕様になってしまうこともあります。
業者さん側は、比較購買や入札のときに勝てるために、自社の得意分野や差別化できる仕様をあえて入れてくるからです。
別にこれが悪いことではなく、差別化して競争に勝つことが売る側としては当たり前であり、そのような仕様を売り込んでいくことが〝営業〟です。これをしっかりと行える業者さんは、営業力があり、競争力のある会社だといえます。
本当に必要な条件を明確に
ただし薦められた仕様が、買う側にとって本当に最適であるかどうかを見極める目は必要です。
何度も述べているように、これが間接材・非戦略購買だと難しいのです。この領域では、売る側のほうが買う側よりも仕様に関してずっと知識が豊富だからです。
ですから買う側にとって必要なのは、自分の要求している仕様、自分が欲しいと思っている条件をいかに明確にするかです。それによって、さまざまな業者さんが参加できるようになれば、本当の比較購買ができるようになるのです。
谷口健太郎 著 「リバースオークション戦略」東洋経済新報社 を要約
谷口健太郎 著書
「リバースオークション戦略」東洋経済新報社
「間接材購買戦略 〜会社のコストを利益に変える〜」東洋経済新報社この記事が「参考になった!」と思ったら、facebookまたはTwitterでぜひ
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